タスマニアは、オーストラリア大陸の東南部から240kmの沖合いに浮かぶ島の州です。緯度では、南緯40度から43.5度内となり、赤道をはさんだ北半球側にはほぼ同緯度に北海道があります。しかし、北海道ほど寒くはなく、1年を通して寒暖の差が少ないのも特徴的であり、温暖で穏やかな海洋性気候の土地として知られています。島の周囲は、南海岸と西海岸をインド洋に、東海岸をタスマン海、北海岸は、オーストラリアとタスマニアを分離しているバス海峡に接しています。
また、島の面積は67,800平方キロメートルあり、北海道より一回り小さく、オーストラリアの総面積の1%以下の大きさに相当します。そして、人口もオーストラリアの州としてはもっとも少ない約526,700人(2018年3月)。首都はホバート。
“妥協しない品質への追及”1988年にサーモン養殖業を開始して以来、創立者であり現ヒューオン社代表でもあるベンダー夫妻の一貫して守り続けてきた信念です。世界遺産の森から流れ出る河川が南氷洋へとつながるタスマニア州南部の人里離れた手つかずの大自然の中を選び本社を構え、事業を始めたのも品質を追求してのことです。
ヒューオンの養殖場はこのような美しい環境下でサーモンを大切に、健康的に育てております。独自の給餌方法や休閑期の設定など、世界でも類を見ない環境管理などを取り入れることで常に最適な養殖環境を維持し、安定的に最高品質のサーモンを皆様に提供できるのです。
ヒューオンは2002年から本格的に品種改良に取り組んでおり、免疫力、成長率、身色などの基準を設け、親魚を選別し、掛け合わせることでより安定した品質の魚を養殖できるように取り組んでおります。これまでに成長率の向上や身色の安定だけではなく、年間を通して安定したサイズの養殖にも成功しており年々成果をあげております。さらに2008年に初めて建設・稼働した自社のふ化場を皮切りに2014年に自社として2箇所目の大型ふ化場を稼働、さらに2018年には中間淡水育成養殖場も稼働しており、より安定した稚魚の生産にも力を注いでおります。
給餌は全て本社にある給餌センタールームから遠隔で行っており、各生簀に取付けられている高画質の水中カメラとモーションセンサーでサーモンが必要とした時に必要とするだけ餌を与えることが出来ます。これにより悪天候などでも安全かつ確実にサーモンに給餌を行うことができ、より安定した品質のサーモンの養殖が可能となります。
ヒューオンでは餌の主要成分であり魚の成長にもっとも影響する魚粉と魚油を、自社の研究から最適な成分率を割り出し与えることで、より短期間で健康的に養殖できるよう取り組んでいます。魚粉は魚に栄養を与え、魚油が脂質を補います。これにより成長率が悪く健康面が心配される夏場でも、安心して育てることができます。また、魚油の比率を低く抑えることで味はあっさりしており、くどさの無い魚に仕上がっています。
ヒューオンでは2014年より Fortress Pen(要塞生簀)と名付けた、頑丈な素材とネットが二重構造になった新デザインの生簀への切り替えを行っております。この生簀はネットにはケブラーという防弾チョッキにも使用されている特殊な素材が縫いこんであり、アザラシなどの外敵からサーモンを守るだけでななく、外海の荒れた環境や悪天候にでも耐えうる構造の生簀となっております。 養殖密度は創業当時と変わらぬ夏場で8kg/㎥、冬場で11kg/㎥と他の産地では見られない、非常に少ない密度で養殖を行なっております。さらに生簀のサイズを円周240m、直径76mと大型化することでさらに魚に自由度を与え、ストレスを軽減、しまった身質となります。
ヒューオンは季節や魚の成長に合わせて養殖するエリアを変えております。各養殖地に休閑期を与え休ませることで養殖環境を常に最適に保つ努力をしております。またさらなる環境への配慮から、現在の河口付近や湾での養殖からより外海へと養殖生簀を移行しております。外海へ出ることで悪天候や潮の流れの影響を受け易くなりますが、サーモンにとっては理想の環境となり、より品質のいいサーモンに加え環境に配慮したクリーンでグリーンな養殖を実現しております。
最近までは養殖で使用するネットを定期的に交換しておりました。ネットに藻や海藻などが付着し、生簀内の酸素濃度が低下してしまうことからネット交換は必要不可欠で、交換後の使用済みネットは洗浄後天日干しをし再利用されておりました。近年では生簀が大型化、ネットの二重構造と藻や海藻が付着しにくい素材の利用によりネットを定期的に交換する必要がなくなりました。しかしながら、それでもネットは汚れるため、定期的な洗浄は必要です。以前はダイバーが潜水して手作業で汚れを除去しておりましたが、最近では作業船上からリモコン操作が出来る独自に開発した高圧洗浄機を利用して短時間で作業を行うことが出来るようになりました。水圧を利用しながらネットを上下左右、自由に動くことが出来るこの洗浄機の開発により常にネットを清潔に保っております。
タスマニアサーモンは他産地と違い、稚魚は海水投入後1年で成熟期を迎えてしまいます。よって年間を通して安定したサイズの魚を供給することが常に課題でした。ヒューオンでは品種改良に加え、ふ化場での温度管理によるふ化の時期の調整、淡水養殖期間の延長、水中ライト使用による日照時間の錯覚、養殖エリアの調整等、様々なデータに基づく調整を行うことで、年間を通して安定した品質とサイズの供給が可能になっております。
創業当初は水揚げの際、各生簀を水揚げ場まで曳航しておりましたが、2014年の “Ronja Huon”大型水揚げ船稼働により、魚を一旦船内のタンクへ移し、水揚げ場に隣接する水揚げ専用生簀へ魚を移動する活魚移動方式へ移行しました。Ronja Huonは世界最大規模の水揚げ船で一回に約300tのサーモンを輸送できます。水揚げ用生簀へ移動後、ストレスを軽減しながら餌止め期間を約7日間設けた後、水揚げが行われます。実際の水揚げは、生簀から大型水圧ポンプによりサーモンを吸い上げた後、スタニングマシーン(頭部打撃)と自動エラ切り機による瞬時の活け〆が行われ血抜きが行われます。血抜き後はサーモン輸送専用タンクローリーに移されます。このタンクローリーはヒューオンが運送会社と共同開発した専用車で、大型ステンレス製のタンクローリー内部には水を0℃に保つ専用保冷機とサーモンに満遍なく冷水が当たるよう循環器が備え付けられており、サーモンの芯温を下げ、急速な冷やし込みを行います。水揚げ場からトラックで約6時間離れたヒューオンの最新鋭の加工工場に到着後、タンクローリーから直接工場へとパイプを通じてサーモンが移され、内臓除去、サイズ選別を得て輸出用のスチロール箱に氷とともに梱包されます。工場に搬入されてから箱に梱包されるまでの所有時間は5分程度と非常にスピーディーで、全てのサーモンは死後硬直前にパッキングされます。
ヒューオンは品種改良や独自の養殖技術の開発などにより、頭が小さく、太い丸みを帯びた、引き締まった魚体が特徴です。これにより加工歩留まりが非常に良く、他産地と比較し5%以上歩留まりがいいとの結果も出ております。引き締まった魚体に加え死後硬直する前に全ての加工を終えることで身割れなども少なく、歯ごたえ十分な身質を実現しております。
各産地サイズ例 | 頭 | 身 | |
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ヒューオン タスマニアサーモン | 5.4%(245g) | 半身:1,930g 半身:1,880g |
合計:84.2%(3.810g) |
A産地サーモン | 11.5%(535g) | 半身:1,815g 半身:1,785g |
合計:77.2%(3,600g) |
B産地サーモン | 9.1%(410g) | 半身:1,790g 半身:1,795g |
合計:79.7%(3,585g) |
C産地サーモン | 10.4%(485g) | 半身:1,865g 半身:1,785g |
合計:78.2%(3,650g) |